大学見学ツアー


 PTA大学見学ツアー 〜後編 京都大学


 京都大学吉田キャンパスでは有名な時計台にある国際ホールにて昼食をいただきました。
 昼食をとりながら、今回の見学に多大なるご尽力をいただいた村上章教授(豊高26期生)と清水浩教授(同31期生)の進行で、5名の豊高卒の学生さんからお話を伺いました。
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 先輩からのアドバイスの中に、オープンキャンパスにでかけたり、先輩に話を聞いたりして大学の情報を集め、どうしてもこの大学に行きたい! という強い気持ちを持つことが大切とありました。各々に個性的なメンバーは、笑いで場を和ませてくれたり、マイクなしで会場に響く声で元気に語ってくれたり、シャイながら一生縣命話をしてくれたり...と充実した内容に参加者も笑顔に包まれました。

 写真右はアメリカンフットボール部(Gangsters)のマネージャーとして活躍中のN先輩。「頑張る君を応援したい」というポスターを手に参加してくれました。→
 〜Gangstersには現役京大生による受験指導システムがあり、実績をあげているそうです。アメフト部への質問・京大受験相談などありましたらお気軽に連絡ください。「Gangstersで検索」〜 ということで、終了後は保護者に取り囲まれていました。


 この後、A班は花山天文台へと向かい、B班は、理学研究科の沼田英治教授のお話を受講しました。



 〜A班 花山天文台(かざんてんもんだい)〜


 花山天文台は1929年に創立された歴史のある天文台で、別館にあるザートリウス屈折望遠鏡は95年前のものですが、今でも太陽を測定し、そのデータは今も最先端の科学研究に用いられているそうです。
 まず、私達は理学研究科の柴田一成(豊高25期生)教授の講演を受けました。先生は宇宙物理学の世界的な研究者と伺っていたので、最初は緊張しましたが、とても気さくな方で、身近な話題を取り入れ、わかりやすく説明してくださいました。今回は「太陽フレア(爆発)」について講演していただきました。太陽の表面では頻繁に爆発が起こっており、同時に衝撃波やプラズマが発生しています。それが地球に近づくと電波障害などが起こり、コンピュータなどの電気・電子系統が壊れたり、高圧変電機が故障したりと、社会に大混乱が生じるそうです。
 また、太陽からは強い放射線がでていて(地球は大気で守られているが)、宇宙飛行士たちの命がさらされている(1日で地上の半年分の放射線を浴びる)話など、太陽についていろいろと学びました(3Dで宇宙の姿や太陽の活動している様子などのシュミレーションも見ることができ、とても迫力がありました)。
 別館と本館のドームには屈折望遠鏡が設置されていましたが、電力は一切使わず、手動で動かしていることには驚きました。
 お天気がよければ太陽の観察をする予定でしたが、残念ながら雨が降っていて出来ませんでした。こちらでは「花山星空ネットワーク」主催で、太陽や星の観測会が年に数回行われているそうです。ぜひ、参加してみたいと思いました。

 写真の前列左の白いシャツを着ている男性が柴田教授です。

 SSHブログにて柴田教授の著書をお薦め本として、高倉先生が紹介しています。
 →https://www.osaka-c.ed.jp/blog/toyonaka/toyo1/2011/10/13/




 〜B班 農学部にて沼田教授の講義・研究室見学〜


   
 理学研究科において昆虫生理学が専門の沼田英治教授(豊高26期生)は、ホソヘリカメムシを研究されているそうですが、この日は数あるテーマの中から、受講者である私達が選んで講義していただくという一風変わったものでした。
 注目を集めたテーマはマゴットセラピー(ウジ虫治療)!! ウジ虫の成長が極めて早いことを利用した糖尿病患者の傷口を治療する方法は、はじめ生々しく感じたのですが2007年から2010年で279人救肢した(全ての患者に有効ではないそう...)という事実に、画期的な治療法と感心しました。不思議な話題の数々と教授の楽しい話術に魅了され、充実した時間を過ごしました。
 ←こちらは沼田英治教授の著書
 『生き物は昼夜をよむ 光周性のふしぎ』
  岩波ジュニア新書 2000年


(写真右上:ジャケットを脱ぐと...下に着ているポロシャツにはゴキブリのデザインがありました。←サプライズです。オーストラリアのゴキブリで日本のものよりずっと大きいそうです。実際の色は水色ではありません!)




 この後は、3グループに分かれて3人の先生方の研究室にお邪魔させていただきました。


 
 資源生物科学科の二井一禎教授は、微生物環境制御学を専門とされており、森林流行病である「松枯れ」「ナラ枯れ」の原因となる虫を実際に顕微鏡で見せていただきました。写真中はナラ枯れの原因となる「カシノナガキクイムシ」です。体調5mmほどの虫がシャーレの中に3000匹も集められていました。←大学院生が毎日吉田山に採取に行っている成果とのことでした。写真右はペットボトルで手作りした採集グッズ。一番下に虫がたまるようになっています。



 
 応用生命科学専攻の阪井康能教授は、分子細胞生物学(バイオテクノロジー)について研究をされていて、その施設にはずらりと並んだ試験管にシャーレ...スタッフの方々は真剣に作業中...その雰囲気のみ感じて退室しました。
 ↑生物が持つ力をバイオテクノロジーとして利用し、食料や暮らしや産業に役立つ物質の生産など幅広い分野の技術進歩に貢献している学科で、カリキュラムの多くが実験技術の実習に割り当てられているそうです。



 
 森林科学専攻の藤井義久准教授(豊高28期生)は木材の劣化について研究されています。最初に案内された「分析機器室」は電子顕微鏡X線CT装置など、高価な設備のあるものでした。
 次の「木工室」は「林産加工学分野」とあるだけに研究室というより、家具作り工房のようでした。木材の香りに包まれた中で説明を受け、一転リラックスしてしまいました。学生にはまず始めに木材と道具だけ渡し「0から物を作る」という体験をさせているそうです。それは単純なようでありながら、〜社会に出て広い視野でものを見る目を養うことにつながる〜 物作りの基本は、準備、段取り、片付けと自ら考えて成り立つものであるとおっしゃっていました。



 時間が足りないと思うほど、沼田教授の講義も各研究室でも有意義な時間を過ごすことができました。お話を伺うことのできた先生方・研究室の学生さんみなさんが、とても生き生きと研究に打ち込まれ、人間的な魅力に溢れた方ばかり(失礼ながら、もっと堅い感じかと先入観がありました)であることに、こんな世界もあるんだ!とこの出会いに感謝しながら見学を終え、帰路へと向かいました。
 

←写真は、農学部キャンパスのイチョウ並木です。足下には何やら臭いのする丸い実が...そう、銀杏でした!





 上の写真は京大オリジナルグッズです。京都らしく、西陣織のネクタイや組紐ストラップに清水焼の湯呑みがあるかと思えば、「京大飴 なめてかかれば 挫折知らず!」というものもありました。→
 一番話題になったものは、写真右上の「総長カレー」1つ¥630でした。村上教授によると、「森のグルメ鹿カレー」¥700の方が珍しいとのことでしたので、両方買って食べ比べてみました。お味は鹿カレーは欧風カレーということでとろみがあってマイルドなタイプ。総長カレーの方がピリリとスパイシーで脳が活性化できそうと感じました。