法教育講演会

11月18日に大阪府行政書士会の方々をお招きし、本校豊陵ホールにて『法教育講演会』が開催されました。

法教育 とは、「法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育」のことで、様々なトラブルを未然に防止するため、行政書士会の方々が依頼のあった教育現場で授業や講演を行ってくださっているそうです。

今回は高校生や保護者にとって身近な問題である「成年年齢の引き下げ」に深く関わる、契約 に関する講演をしていただきました。

 

はじめに、大阪府行政書士会の会長で、PTAのOBでもある西村誠先生からご挨拶があり、次に法教育推進特別委員会 委員長の野口直美先生から、行政書士のお仕事についてご説明がありました。

法教育推進特別委員会 委員長 野口 直美様法教育推進特別委員会 委員長 野口 直美様

行政書士は法律などの専門知識を生かして、「国際結婚」「店の営業許可」「相続の手続き」などに必要な、国や地方の役所に提出する書類を作成し、申請の手助けをするなど、暮らしのさまざまな場面で活躍されており、扱う書類は1万種類以上もあるそうです。

続いて、伊東勇太先生からは「成年年齢になると何が変わるのか」「契約とは何か」について講演していただきました。

  • 18歳 (成年)になると保護対象から外れるため、自分の判断に責任が生じる  ➡︎ 親などの同意がないことを理由に契約を取り消すことができない
  • 契約とは、何をどこでいくらで買うかなど、当事者の自由な意思に基づいて、双方の意思表示が合致することにより成立する契約自由の原則
  • 自由に決められるからこそ、契約を結ぶ際には「本当にその契約を結ぶ必要があるのか」「誰と契約するのか」「どんな内容で契約するのか」など、慎重に判断することが大切である

 

最後に金光一輝先生から、実際に契約をする際に気をつけるべきことなどを、具体例をあげてお話してくださいました。

  • 契約を結ぶ前には、自分の目的や条件を整理することが大事
  • 誤解のないように、相手にも契約したい内容をきちんと伝え、相手の条件もしっかり確認する
  • 通販サイトなどは対面の契約ではないため、契約内容を十分確認しないまま契約してしまいがちだが、注文前に返品や解約の条件等、販売サイトを隅々まで確認しておく
  • 契約書や金銭の受け渡しがなくても、双方の意思表示が合致した時に契約は成立する
  • 契約には権利義務が発生し、拘束力がある
  • トラブルが発生した場合は、市の無料相談などを利用して専門家に相談する

 

今まで契約というと「書面で交わす約束」というイメージがありましたが、単なる友人との貸し借りやコンビニエンスストアで物を買うことも契約の一部だとお聞きし、目から鱗が落ちるような気がしました。

「社会にルールがあるのは、いろんな考えや価値観を持った人々が一緒に生きていくために必要だからであり、しっかり勉強して契約の本質やその責任を正しく理解し、誰もが尊重される自由で公正な社会づくりの担い手になってください」というメッセージを受け、契約やルールについて、成年を迎える子どもたちだけではなく、私たち保護者もよく理解しておくことが大切だと感じました。

講演に来てくださった行政書士のみなさま、貴重なお話をありがとうございました。